労働相談Q&A

A 労働時間・休日
  1. 変形労働時間制 期間途中の変更
  2. 自発的な残業に対する残業手当
  3. 早朝出張の移動時間
  4. 派遣労働者の時間外労働
  5. 休日の慰安旅行         
B 休暇・休職・休業
  1. 年次有給休暇 出勤率算定
  2. 私傷病休職中の年休請求
  3. パートタイマーの年休
  4. 病気休職者の復職可否判断
  5. 一部休業の休業手当
C 給与・賞与・退職金
  1. 賃金改訂の遅れ 退職者への差額支給
  2. 歩合給制の保障給
  3. 連絡が取れない社員の給与
  4. 年休未消化による賞与加算
  5. 退職後の問題発生と退職金     
D 人事異動・出向
  1. 転勤拒否
  2. 転籍の際の退職金
  3. 出向拒否
  4. 出向先の労働時間が異なる
  5. パート従業員の配置転換
E 懲戒・退職・解雇
  1. 始末書の法的効力
  2. メールで届いた退職届
  3. 退職願の撤回
  4. 「辞めていただいて結構」は解雇予告?
  5. 解雇予告手当の受領を拒否   
F 労働災害
  1. 出張先で土産物色中の被災
  2. 新年会で幹事が被災
  3. 飲酒運転で労災事故
  4. 通勤途中の暴行事件
  5. いつもと違う交通手段での通勤災害
G 雇用保険・社会保険
  1. 休業中の見舞金は報酬?
  2. 雇用保険 未支給の失業給付
  3. 退職金の前払いにかかる社会保険料の取扱い   
H その他
  1. 採用内定取り消し
  2. 職種別の試用期間
  3. 定期健康診断の受診拒否
  4. 賃金台帳などの保存義務


A1 変形労働時間制 期間途中の変更

Q: 当社は、1か月単位の変形労働時間制を採用していますが、対象期間の途中で労働時間を変更することはできますか?
A: 1か月単位の変形労働時間制を採用する場合には、各日、各週の労働時間を労使協定または就業規則その他これに準ずるものにおいて具体的に定めておかなければなりません(労働基準法第32条の2第1項)。
つまり、1か月単位の変形労働時間制は、1か月労働した後にこれを通算して、結果として1週当たり40時間以下になっていればよいという制度ではないということです。もし、労働時間の事後通算を認めると、ある特定の日または特定の週に労働しなければならない労働時間数が不明確となり、労働者は日常生活の設計が困難になりますし、1か月の法定労働時間の範囲内であれば、特定の日または特定の週にいくら労働しても割増賃金が支払われないことになる可能性があるなど、労働者にとって不利益が著しくなります。
したがって、変形期間の途中で労働時間を変更することは、1か月単位の変形労働時間制を採用する場合の要件を欠くことになり、認められません
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A2 自発的な残業に対する残業手当

Q: 当社では、従業員の残業について、会社からの残業命令および各人からの申請・許可制度を実施しており、どちらにも該当しない残業については、残業手当を支給していません。従業員の出退勤時には、タイムカードを打刻してもらっていますので、命令も許可もない残業をしていた場合、タイムカードに基づく残業時間数と、支給した残業手当の計算の基となった時間数は異なることとなります。
不要と思われる残業によって、人件費が膨らむことを防止するための策ですが、このような残業手当の算定方法は違法でしょうか?
A: @タイムカード記載の労働時間を実労働時間として認定すべきか
Aタイムカードの記載が労働実態を反映しているか否か
タイムカードの出退勤時刻が実労働時間と認められるかは、会社が実態として、タイムカードで従業員の労働時間を管理しているかどうかで判断されます。
●パート・アルバイト従業員の給与はタイムカードによって計算される
●正社員についても、遅刻・早退等の控除をタイムカードの記載により管理し計算している
●打刻漏れがあった場合は、管理職が本人に出退勤時刻を記入させ、確認印を押している
などの事実があれば、労働時間の管理はタイムカードによって行っているのであり、単に出退勤確認のためだけに使用しているとみるのは困難です。
また、タイムカードを打刻すべき時刻について特段の取り決めがなされていないのであれば、タイムカードに記載された出勤・退勤時刻と就労の始期・終期との間に食い違いがあることが証明されない限り、タイムカードに記載された出退勤時刻をもって労働時間時間と認定されるでしょう。
労働実態を反映しているかどうかは残業が常態化しているか否かで判断されます。会社の指示による予定されていた業務量が、就業時間内になすことができないほどのものであり、残業せざるを得ない状況にあったと認められる場合は、命令も許可もない残業であっても、会社の「黙示の業務命令」による残業であると判断されます。
つまり、会社が残業を黙認しているということになり、その時間に対しての残業手当を支給しなければ賃金未払いで違法です。
たとえ、会社と従業員との間で、予め命令・許可なき残業手当を支払わないとの合意があったとしても、そのような合意はこの場合においては強行法規たる労働基準法第37条に違反するとされる可能性が高いからです。
では、会社としてはどのようにこの「黙示の業務命令」を避ければよいのでしょうか?
残業が
●会社の指示による業務なのか?
●予定されていた業務量なのか?
●就業時間内に終わらせることができない業務や業務量なのか?
を明確にすることです。
「おっ、今日は残業するのか?なんや、何が残ってるんや?明日じゃあかんのか?今日無理から仕上げなあかんのか?何で残業せなあかんほど今日業務量が多くなったんや?君に業務が偏ってるんか?業務の組み立て、チームで見直さなあかんな。明日○○に手伝わせるから今日はもう帰り」
毎日の管理職の声掛けが大切です。
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A3 早朝出張の移動時間は時間外労働?

Q: 先日、従業員Aに遠方の取引先企業への出張をしてもらいました。当社の出張は遠方の場合は、前日に出発することになっていますが、Aは、出張前日は会議で遅くまで会社にいましたので、当日の出発となりました。先方との約束時間が午前9時30分だったため、早朝6時の出発となったそうです。当社の通常の始業時間は午前9時です。この場合、通常の所定時間より早く出勤したわけですから、午前6時から午前9時までの3時間は時間外労働の取扱いをすべきなのでしょうか?
A: 約束の時間が通常の始業時間より早い時間に設定されたというわけでもないが、先方の会社が遠方であったために、そこへ到着するのに長時間を要するので早朝6時に出発しなければならなかったというのであれば、他の遠距離出張や長時間通勤と同じ取扱いとなります。
労働基準法上の労働時間とは「使用者の指揮監督下にある時間」とされています。したがって、いまだ指揮監督下に入っていない通勤のための時間は、労働時間とはされません。
出張先に電車等で移動する時間については、休日に行われる出張の移動が休日労働に該当するか否かに関しての判例が参考になります。
判例では、「出張中の休日はその日に旅行(移動)する等の場合であっても、旅行(移動)中における物品の監視等別段の支持がある場合の外は休日労働として取扱わなくても差支えない」とされています。
休日に行われる出張の移動は、会社の指示で物を運ぶ等の任務を課せられていない限り、休日労働として扱わなくともよい、つまり、移動時間は特別の事情がない限り労働時間として扱う必要はないということです。
このように、出張における移動時間は法的には労働時間とみなされませんから、ご質問のような早朝出発であっても、これを時間外労働扱いにして割増賃金の支払義務が生じたりすることはありません。
ただ、出張先が遠方の場合には、労働者はそのために通常の勤務以上に多くの私的時間を業務のために費やすことになりますし、労働基準法上の問題としては、時間外労働としての取扱いが必要となるとはいえない場合であっても、実務的にはこうした早朝や夜間の出発等の負担について、出張旅費の定めの中で、何らかの手当を支給することが適当ではないかと考えられます。
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A4 派遣労働者の時間外労働

Q: 当社では、来月からパソコンでのデータ入力の業務について、派遣会社から労働者派遣を受けようと考えています。派遣契約期間は1か月で、その間集中的に業務を行ってもらいたいので、1日8時間の所定労働時間の他に1日3時間、月に45時間程の残業をお願いしたいと思っています。
ところが、当社で締結している36協定は、1日2時間、1か月35時間の範囲になっているのです。こういう場合、来月から来ていただく派遣労働者にも現在の当社の36協定の範囲を超えて残業をお願いするわけにはいかないのでしょうか?
A: 派遣労働者は、派遣元事業主(派遣会社)との労働契約に基づいて労働義務を負うもので、その労働条件は、派遣元事業主との間で就業規則や労働契約書などにより決められます。一方で、具体的な労働時間の決定などの就労に当たっては、労働者派遣契約に基づいて、派遣先の指揮命令を受けることになります。
労働基準法については、原則として派遣元事業主が雇用主としての責任を負いますが、一部派遣先が責任を負うものがあります。派遣労働者の時間外・休日労働に関する労使協定(36協定)の締結・届出については派遣元事業主が行うこととし、それ以外の現実に就労させる場合の労働時間・休憩・休日に関する労働基準法上の義務は、派遣先の使用者が負うこととしています(労働者派遣法第44条)。
よって、派遣労働者に何時間の残業をさせられるかは、派遣元事業場(派遣会社)の36協定によることとなり、貴社の36協定における時間外労働を行わせる時間の限度に拘束されることはありません。また、貴社で36協定が締結・届出されていても、派遣元で36協定が締結・届出されていない場合は、貴社が派遣労働者に時間外労働を命ずることはできませんので、ご注意ください。
まず、派遣元会社と労働者派遣契約を締結する際に、派遣元会社の36協定で時間外労働の上限時間は何時間であるかを確認し、派遣労働者に時間外労働を行わせることがある旨の定めを労働者派遣契約に盛り込むことが必要です。
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A5 休日の慰安旅行 幹事は休日労働扱い?

Q: 当社では毎年秋に会社の休日を利用して慰安旅行を実施しています。今までは旅行の参加者も、準備、引率、世話をするいわゆる幹事も休日労働扱いをしてきませんでした。
しかし、今年の旅行企画の際に、「準備に当たる担当従業員は休日労働をしているのも同様で、休日労働手当を支給しなければならないのではないか」という意見が出ました。
幹事役の従業員については休日労働の扱いをしなくてはいけないのでしょうか?
A: 慰安旅行の幹事として旅行の世話をする場合は、出張の場合と同じように考えられます。
「出張中の休日はその日に旅行する等の場合であっても、旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合の外は、休日労働として取り扱わなくても差し支えない」という行政解釈があります。
これに従いますと、旅行中であっても、幹事の仕事は、従業員が安全、快適に旅行できるように常に注意し、途中における乗下車船、食事、その他のサービスにおいて気を配り、連絡に当たることをその任務とするわけですから、これは「物品の監視等別段の指示がある場合」に該当すると考えられ、旅行中であっても「休日労働」として取り扱わなければならないことになります。
休日に行う社内行事の運動会でも同じです。運動会の準備や世話をすることを義務づけられている担当従業員については、その仕事自体が自己の業務の一環としての行為となるので、事務所に出勤して日常の業務を行う場合と全く同じように使用者の命令による自己の業務の遂行として、その日の出勤は「休日労働」となります。
どちらの場合も、休日労働として取り扱いますので、休日割増賃金を支給しなければいけません。
なお、慰安旅行や運動会に参加する一般の従業員は、その旅行や運動会が使用者の命令によるものであって強制的に参加しなければならないものであるときを除いては、自己の業務としての行為にはならないので、休日労働といった問題は生じません。(強制参加の場合は、休日労働となりますのでご注意ください)
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B1 年次有給休暇 出勤率算定

Q: 当社では、年次有給休暇の付与条件として前年度の出勤率を算定する場合に、1年間の遅刻・早退の時間を全部合計して、1日の所定労働時間8時間で割ってこれを欠勤日数として取り扱っています。
例えば、1年間の遅刻・早退の総時間が40時間の場合は、5日欠勤(40時間÷8時間=5)という方法ですが、この取扱いは労働基準法上問題があるでしょうか?
A: 労働基準法第39条第1項では、「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」と規定されています。
この「労働日」というのは、あくまでも暦日単位のものですので、原則として時間分割は許されません。同様に、年次有給休暇の付与条件とされる「全労働日の8割以上出勤」という場合の「労働日」の意味も暦日単位と考えます。
遅刻・早退は、一労働日の所定労働時間の一部についてのみ就労しないものです。8割以上の出勤率の計算上の出欠の取り扱いは、年次有給休暇の付与単位と同じく、「労働日」を暦日単位としてみるべきものと考えられますから、この遅刻・早退時間分は確かに不就業時間ですが、合計して欠勤日として取り扱うことは認められません
ご質問の場合、1年間の遅刻・早退の総時間を5日間の欠勤として8割以上出勤の計算をすることは違法となると考えられます。
たとえ、1日の所定労働時間のうち1時間しか勤務しなかったような場合でも、これを欠勤とすることはできませんから、ご質問の趣旨で就業規則を作成されても、労働基準法第39条の規定により「無効」とされることになります。
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B2 私傷病休職期間中の年次有給休暇請求

Q: 当社は就業規則で、「私傷病により欠勤が継続2か月以上にわたる場合には休職とする」と規定しています。先日、この欠勤期間の継続を中断するため年次有給休暇を取りたいと申し出た従業員がいました。本人は、「私傷病にも年次有給休暇は認められるし、年次有給休暇の残日数があるのだからこれをいつ請求するかは労働者の自由である」と主張しているのですが、会社としては、このような休職要件としての欠勤期間の中断ということが認められますと、いつまでも休職の発令ができませんのでどう取扱うべきか困っております。このような年次有給休暇の請求も認めなければいけないのでしょうか?
A: 長期休業中の年次有給休暇についての行政解釈は、
(1)負傷または疾病等により長期療養中の者が休業期間中年次有給休暇を請求したときは、年次有給休暇を労働者が病気欠勤等に充用することが許されることから、このような労働者に対して請求があれば年次有給休暇を与えなくてはならないと解する
(2)休職発令により従来配属されていた所属を離れ、以後は単に会社に籍があるにとどまり、会社に対して全く労働の義務が免除されることとなる場合において、休職発令された者が年次有給休暇を請求したときは、労働義務がない日について年次有給休暇を請求する余地がないことから、これらの休職者は、年次有給休暇請求権の行使ができないと解する
となっています。
私傷病によって長期間治る見込みがなく、就労を期待できない場合には、本来ならば直ちに解雇することもできるけれども、労働者の利益を考慮して、もし、一定期間中に治ったならばそのまま労働関係を継続するという条件で一定期間従業員としての身分を存続させ解雇を猶予しようとする制度が休職制度です。ご質問の場合、年次有給休暇を請求したからといって、就労を期待できない事情が解消されるわけではありませんので、年次有給休暇請求の効果としては、休職の中断までに及ぶものではないということになります。
つまり、使用者としては、年次有給休暇は与えなければならない(年次有給休暇手当は支給しなければならない)が、そのことによって、休職要件である欠勤日数の中断としての取扱いをする必要はないということになります。
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B3 パートタイマーの年休

Q: 当社で雇用しているパートタイマーは年間の労働日数が通算して90日程度なのですが、年次有給休暇の取扱いはどうすればよいのでしょうか?
また、勤続年数の計算について、例えば1か月間雇用契約が切れている場合でも継続勤務として考えなければならないのでしょうか?
A: パートタイマーなどのように、所定労働日数が少ない労働者については、「通常の労働者の所定労働日数との比率を考慮して、労基法施行規則で定める日数の年次有給休暇を与える」と定められています。
ご質問にあるように、年間労働日数が少ないパートタイマーで、かつ週の所定労働日数が一定していないケースについても、通常の労働者の所定労働日数との比例配分による日数が示されています。例えば、年間通算して90日勤務の場合でも、6か月を超えて雇用継続していれば、週2日勤務者と同様の日数(3日)の年次有給休暇が付与されることになります。
ご質問の2点目、雇用期間が1か月間切れている場合に、これが継続勤務となるかどうかですが、行政解釈は、形式的に雇用契約が切れていたとしても、実態的に雇用が継続されていると判断される限り、勤務は継続しているとみなしています。継続雇用か否かの判断は単に期間によって左右されるというものではなく、あくまでも実態として継続しているかどうかでみるということになります。
ですから、ご質問のケースのように、1か月間雇用契約が切れるという場合でも再び雇用されることが決まっていれば、実態として雇用が継続しているとみなされ、勤続年数を通算しなければならないと考えるべきでしょう。こうした雇用契約の中断が、パートタイマーに対して年次有給休暇を与えないことを目的に行われるとすれば、一種の脱法行為ということになります。
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B4 病気休職者の復職可否判断

Q: 病気休職中の従業員から医師の診断書を添えて復職の申し出がありました。その診断書には、「軽勤務可」とありましたので、当社はその従業員を直ちに復職させませんでした。従前の職場は他の従業員が代替していますので、復職先を検討していますが復職命令はまだ出していません。ところが昨日、同従業員から「平常勤務可」との診断書の提出がありました。
会社は、この従業員を直ちに復職させなければならないのでしょうか?当社の就業規則は、「休職期間中に従業員から復職の申し出があったときは、復職を命ずることができる」旨定めています。「命ずることができる」という条文や、業務の責任は会社にあること、また、無理に復職させて病気が再発でもしたら会社は安全配慮義務違反の責任を問われること等から、復職は会社の裁量権に属すると考えてよいように思いますが、いかがでしょうか?
A: 休職制度の趣旨から考えると、休職期間満了時、あるいは休職期間中であっても、当該休職事由が消滅すれば、所定の手続を経て、その従業員を復職させることが予定されているといえるでしょう。それ以上休職を続け、あるいはその従業員を退職させる理由がないからです。
しかも、客観的に休職事由が消滅しているという事実がある以上、使用者はその従業員を当然復職させなければならず、原則としてこれを拒むことはできないと考えられます。
「客観的に休職事由の消滅した場合」の判断ですが、これは、争いになれば、最終的には裁判所が判断することになります。もちろん、第一次的には会社の判断となるでしょうが、ご質問のように、その判断が「会社の裁量権に属する」とはいえないと思います。診断書を作成した医師の意見も十分聞き、会社の業務との関連において復職可能かどうかを客観的に判定する必要があります。
裁判例でも、椎間板ヘルニアで病気休職していた者の体操教師としての復職を認め、「復職命令は休職事由の消滅についての確認行為にすぎず、使用者が復職を拒否している場合は、当該復職が客観的に認められるべき時期に復職したとみなされるべきである」としています。(聖マリア学園事件)
ご質問の具体的な処理としては、当該診断書を提出した医師、さらに会社の産業医等の意見を聞いて客観的に決定すべきことになりますが、ある程度の職務に就労可能だということになれば、現在復職先で適当な職務がない、というような理由で復職を拒否することは許されないといえます。
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B5 一日のうちの一部休業 休業手当は?

Q: 当社の所定労働時間は、午前9時〜午後6時(休憩1時間)で、実働8時間ですが、受注減少のため今月から週1日は午後4時終業にしたいと考えています。この場合、本来の終業時間までの2時間の休業について「使用者の責に帰すべき事由による休業」として、休業手当を支給しなければいけないのでしょうか?
A: 仕事量減少という会社の業務の都合により通常より2時間早く終業させることは、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、労働基準法第26条により休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないケースにあたります。
ただ、「休業させたその日について平均賃金の100分の60に相当する金額を支払わなければならない」わけで、御社のように一日のうちの一部を休業させた場合は、「現実に就労した時間に対して支払われる賃金平均賃金の100分の60に相当する金額に満たない場合には、その差額を支払わなければならない」とされています。
例えば、実働8時間で一日の平均賃金が10,000円の場合、会社の都合で一日全休業したとすると、平均賃金10,000円×60/100=6,000円の休業手当を支給しなければいけません。一方、一日のうちの一部(2時間)だけ休業したとすると、その日の実働時間(6時間)に応じて支払われた賃金が6,000円に達していれば、別途休業手当の支払い義務はないということになります。
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C1 賃金改訂の遅れ 退職者への差額支給

Q: 当社では、毎年4月に昇給を行っているのですが、今年は賃金表の改訂も実施することとしたため、4月分給与の支給日まで決まらず、4月分は暫定的に旧賃金を支払って、決定後差額を支給することにしました。
ところが、従業員の中に5月10日付で退職する者がいます。この従業員についても4月分は旧賃金を支給したのですが、新賃金決定時にはおそらく在籍していないものと思われます。この退職者に対しても、旧賃金と新賃金の差額は支払わなければいけないのでしょうか?
A: 労働基準法で昇給に関する事項について就業規則への記載義務を課していることを除けば、昇給やベースアップについては、とくに法令上の規制はありません。
一般に、昇給は勤続や年齢などの上昇に伴い行われるものです。これに対して、賃金表の改訂は賃金ベース(基本給など)全体の改正ですから、新たな労働契約内容の変更ということができます。
ご質問のように賃金改訂が行われる前に従業員が退職したような場合の取り扱いについて、賃金表の改訂であれば改訂額が決定されて初めて権利や義務が生ずるものであり、退職者に対しても遡って支給するなどの特約がない限り、改訂後の賃金額を支給する義務は生じないものと考えられます。一方、昇給については「毎年4月度の賃金について、一律基本給の○○%を引き上げる」というように、ほとんど自動的に計算できるような規定であれば、すでに権利、義務が生じているものとみて、遡及払いの対象になると考えられます。しかし、「会社の業績および本人の能力、年齢、勤続年数などにより考課のうえ決定する」という程度の定めであれば、いまだ具体的な権利は発生していないと解されるでしょう。
つまり、ご質問の退職者に対する差額分の支給については、特別の取り決めがない限り当事者の自由とされていますので、労使で話し合って決めていただくことになります。
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C2 歩合給制の保障給

Q: 当社では営業社員の賃金を契約件数に応じる歩合給制としています。今月、社員Aが自己都合による欠勤が続いたため契約件数が少なくなり、歩合給が大幅に下がってしまいました。このような場合にも保障給を支給しなければいけないのでしょうか?また、会社都合で休業させた場合には、保障給と休業手当の両方の支給が必要でしょうか?
A: 労働基準法第27条では、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」と規定しています。営業社員がきちんと出勤して契約の勧誘業務を行っているにもかかわらず、契約に至った件数が少なかったという場合は、労働者の責に基づかない理由となりますので、これによって賃金が極端に少なくなる場合は労働者の生活を保障しなければなりません。
一方、労働者が就業しなかった場合には、自己都合によるもの、不可抗力、使用者の責によるもののいずれも場合でも、この保障給は支払う必要はありません。
ご質問のように自己都合による欠勤の場合には、不就労の部分について賃金を支払う義務はありませんから、保障給も支払う必要がなく、会社都合による休業の場合には、平均賃金の6割の休業手当の支払いが義務づけられているので、実収賃金が著しく低下するとはいえないでしょう。
保障給の金額は規定されていませんが、「常に通常の実収賃金と余りへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるように」と指導されており、少なくとも平均賃金の6割程度を保障することが妥当でしょう。なお、月給+歩合給といった賃金構成で、固定給の部分が賃金総額中の大半(概ね6割以上)を占めている場合には、「請負制で使用する労働者」には該当しないと解されます。
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C3 連絡が取れない社員の給与

Q: 当社の従業員が、年休取得後そのまま出勤してこなくなり、無断欠勤日数は、すでに14日となります。
会社に届け出ている住所に連絡したところ、すでに引越した様子で、引越し先や他の連絡先も知らず困っています。会社としましては年休後の最初の欠勤の日に、本人から退職の申出があったものとみなして、それから2週間経過後に依願退職扱いで除籍する考えでいます。
ところで、この者については年休の2日間を含め退職日までの賃金が支払われていません。この未払いの賃金をどのように取扱えばよいのでしょうか?
A: 労働基準法第24条の「直接払いの原則」は、所定の賃金支払日に賃金全額を労働者に受領させることを目的としているものではありますが、ご質問のケースのように使用者が賃金の支払いを準備しているにもかかわらず労働者がその受領を拒否しているために賃金を支払えないような場合においてまで、何らかの方法により労働者に賃金を受領させることまでも使用者に対し義務づけているとは解されません。
民法上も、「賃金その他の債務が支払われるのと同様の状態において労働者が受け取り得る(弁済の提供がなされている)状態に置かれている場合は、労働基準法上の支払いがあったと同様の効果が生ずるものと解される」としています。
以上のように弁済の提供をしていれば労働基準法第24条違反とはなりませんが、民事上は、労働者が賃金を受領しない限り使用者には賃金を支払う義務が依然として残ることとなります。
このような場合、債務までも消滅させるためには、「供託」をするという方法が考えられます。「供託」とは、債権者(労働者)が弁済を受領しないなどの場合に、弁済の目的物(賃金)を債権者のために供託所に寄託して債務を免れる制度です。
供託することにより、労働者は供託所に対して供託物の交付を請求する権利を取得します。
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C4 年休未消化による賞与加算

Q: 当社では、年次有給休暇の未消化日数に応じて一定率で賞与の額を加算する制度の導入を検討しています。年次有給休暇を金銭で買い上げることは違法だと聞いていますが、当社が考えている制度も違法なのでしょうか?
A: 賞与とは一般的にいって会社の業績や労働者の勤務成績に応じて支給されるのが原則ですから、金額についても別段の定めはなく、業績によって多く支給しても、または少なく支給しても、支給しないとしても法律上問題はありません。支給基準や支給額、支給方法、支給期日、支給対象者などは、原則として当事者間で自由に定め得る性質のものであるということになります。
しかし、いくら当事者間で自由に定めることができるといっても、労働基準法が労働者に権利として保障する年次有給休暇を取得しないことを勤務成績として評価することは、年次有給休暇を取得した者に対する不利益取り扱いを禁ずる労働基準法附則第134条が定める「使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」とする規定に違反します。
また、年次有給休暇を金銭で買い取るということでは、実質的に休暇を付与したことにはなりませんので、使用者は労働者に対して有給休暇を与えなければならない、とする労働基準法第39条に違反することになります。
ご質問の場合は、直接有給休暇を買い取っているというわけではないかも知れませんが、未消化の休暇日数に応じて一定率の賞与加算を行うということですから、休暇の取得を抑制することとなり、加算の程度によっては買い上げとまったく同様の効果をもつものといえるでしょう。
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C5 退職後の問題発生と退職金

Q: 自己都合で退職した元社員が、実は当社の需要機密を同業のライバル会社にリークしていたことが、退職直後に発覚しました。これは、当社の就業規則で定められている懲戒解雇事由に該当するものであり、退職金規程の中には懲戒解雇の場合には、退職金を支払わない旨明確にされています。
元社員にはすでに退職金を支給しましたが、返還してもらうことはできないのでしょうか?
A: 退職金は、法律上会社が当然に支給しなければいけないものではありません。しかしながら、労働協約や就業規則で支給要件が明確に定められている場合には、その要件を充たせば、労働者は会社に退職金を請求することができます。
会社が就業規則中に退職金に関する規定を設ける場合、その支払時期を必ず記載しなければいけません。就業規則で支給要件が明らかな場合は、退職金は「賃金」にあたるのです。
たとえ、懲戒解雇に相当する事由があっても、自己都合の退職、普通解雇などにより労働契約が終了してしまった場合には、特段の規定がない限り退職者の退職金請求権は全額について発生し、もはや懲戒解雇による不支給・減額の余地はないとされています。
本件のように、自己都合の退職により労働契約が終了している場合は、会社が懲戒解雇をすることはもはやできず、会社として退職者の退職金請求権を否定できないのが原則です。
ただし、今回のように、在職中の懲戒解雇事由が明らかになった場合、その背信性はきわめて著しいと言えますので、元社員による退職金の請求を「権利の濫用」として、その返還請求が認められる場合もありうると思います。
社員の自己都合の退職の申し出に対して、会社が承諾の意思表示をしていない場合は、依然として社員の退職の効果は生じません。また、期間の定めのない労働契約の場合、社員による退職の申し出後2週間を経過しない限り退職の効果は生じません(民法第627条1項)。
つまり、会社が承諾の意思表示をする前や社員による退職届提出後2週間の間は、依然として懲戒解雇は可能ということになります。
このような時間を利用して、退社を申し出た社員の職場における人となりを懲戒解雇事由がないかという観点から慎重に調査をしておくことが対策として考えられます。
また、このような問題を回避するために、
●在職中の懲戒解雇事由が退職後に発覚した場合に、退職金を支給しないこと
●在職中の懲戒解雇事由が退職後に発覚した場合には、支給した退職金を返還させる
などを予め就業規則に定めておくことが効果的です。
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D1 転勤拒否

Q: 当社の従業員に転勤命令を出したところ、「家庭の都合で転勤したくない。」と相談されました。事情を聞くと、介護が必要な親を抱えているのでどうしても動けないということのようです。しかし、個別の事情を考慮しているときりがないですし、強制的に転勤させることができるでしょうか?また、当人が従わなかった場合に転勤拒否として懲戒の対象とすることができるでしょうか?
A: 労働契約において、当該労働者の具体的な労働の種類、就労場所について特約がなく、就業規則に配転・転勤をさせることができる旨の定めがある場合、経営戦略、人事戦略、予算などに基づいて行われる会社の転勤命令は有効といえます。
しかし、配転命令が就業規則や労働協約によって定められていたとしても、権利濫用や信義則(信義に従い誠実に行動せよ、というルール)違反として無効となる場合があります
この判断は、業務上の必要性があるか、配転命令によって労働者が被る職業上ないし生活上の不利益がどの程度となるかを考慮してなされます。そして、この業務上の必要性の判断には、当該部署に要員の追加・変更等をする必要性があるかという点と、対象となった人がその要員として合理的かという点が含まれます。
権利濫用として無効とされる例としては、
@業務上の必要性がない場合
A業務上の必要性はあるが、他の不当な動機、目的(労働者への報復的な意図)をもってなされた場合
B労働者に対し通常甘受(やむを得ないものとして文句を言わずに受けること)すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合
Cその他特段の事情があるとき
などがあげられています。
単身赴任になるというだけでは通常甘受すべき程度を超えているとは認められないケースが多いようです。子育て中の共働き夫婦の一方に転勤命令が出た場合であっても、従業員側で工夫と努力をすることで対応可能であり、転勤命令に服するべきとされた例もあります。
これに対して、高齢の親を介護しなければならない、子供が病気で専門的な治療が必要なためにその地を離れることができない等の場合に、転勤命令は通常甘受すべき程度を超える不利益を負わせるものであるとした例があります。
「なぜ配転が必要なのか」「なぜその人でなければならないのか」客観的な資料を準備しておけば、万一、後で争われた場合に有効です。
また、従業員側の事情をよく聞き、単身赴任の場合の交通費支給や、他の家族への配慮をするなど、問題解決へ向けた積極的な提案や対応が必要となるでしょう。
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D2 転籍の際の退職金

Q: 先日、当社の従業員に転籍命令を出したのですが、「転籍は会社を辞めることなので、私の同意もなくそんな命令は出せないはずです。」と言って拒否しました。また、「どうしても転籍しなさいと言うなら、退職金を支払ってもらいます。」と請求してきました。従業員の同意のない転籍命令は出せないのでしょうか?転籍の際には退職金を支給しなければいけないのでしょうか?
A: 「転籍」とは、一般的には、元の会社を退社して、新たな会社に入社することを指します。また、営業譲渡や合併などによって労働者の地位が元の会社から転籍先へ譲渡・承継される場合もあります。いずれも元の会社との雇用関係がなくなる点で、在籍出向とは異なります。転籍の際は、使用者が変わることになりますので、賃金、労働時間、休暇など労働条件の変更や、有給休暇の残、勤続年数の計算をどうするか、といった様々な問題が生じます。
労働者にとって影響が大きいため、原則として、個別の同意が必要とされています。誤解が生じないように、説明文書を作成して十分に説明し、労働条件などの変動についてよく理解してもらうと良いでしょう。その上で、転籍を了解した旨の同意を書面で取っておくことが重要です。
元の会社を退社して、転籍先に入社する場合は、転籍時に退職金を精算し支給するのが原則ですが、元の会社が従業員に支払う退職金を、転籍先の退職時に支払うものと合意し、転籍先から退職金を支払うことについて転籍先も合意している場合には、退職金の支払いを転籍先の退職時にすることも可能です。営業譲渡や合併などによる労働者の地位の譲渡・承継に伴う転籍の場合には、退職金も引き継がれるのが原則ですが、合意により、転籍時に精算し、支給することも可能です。
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D3 出向拒否

Q: 当社のA事業所の業績低迷により、このたびB社に業務委託をすることになりました。これに伴い、長期にわたる技術指導が必要となったため、A事業所の社員をB社に出向(在籍出向)するよう命じたのですが、「あんな小さい会社にいけない。」などと応じようとしません。どうしたらよいのでしょうか?
A: 在籍出向は、それまで勤務していた会社との雇用関係を継続したまま、出向先企業に勤務することです。労働契約上の使用者の権利(指揮命令権など)が、一部、出向先に譲渡されます。しかし、これには、原則として労働者の承諾が必要です。
ただ、労働者に逐一個別の承諾を得るのは事務手続き上も大変であるということで、判例上も、転籍出向と異なり、出向元との関係が継続するため、労働者の地位に与える影響も比較的大きくないとして、一定の場合には個別の同意を得ることまでは必要でないとされています。
判例では、在籍出向の根拠、在籍出向に伴う従業員の不利益などを検討し、以下の事情の下では、個別の同意は必要ないとしています。
@就業規則に、従業員を社外勤務させることがある旨の規定がある
A出向先企業との賃金格差がある場合には、差額を支給する旨の規定がある
B労働組合との労働協約においても、従業員の社外勤務について規定があり、出向の増加、長期化に伴う修正・協議が行われてきた
C出向することとなった事情に合理性がある
D出向命令を受ける従業員にとって、休日数や残業時間などの点で不利益を強いるものでなく、勤務態様にも大きな差異がない
E会社による人選に合理性がある
出向命令を出す前に、出向規定を確認してください。一応の規定があっても、従業員に著しく不利益な長期出向であったり、賃金格差が著しい場合など、原則に戻って個別の同意が必要とされるおそれがあります。出向命令の業務上の必要性と、合理性を検討しておくと良いでしょう。
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D4 出向元と出向先の労働時間が異なる

Q: 当社では3か月前から従業員を関連会社に出向(在籍出向)させていますが、当社の実働時間が7時間、出向先の会社の実働時間は8時間で、出向先の方が1時間長くなっています。出向した従業員は出向先の就業規則に従うことになっていて、今のところ従業員本人から苦情は出ていないのですが、以前より長くなった就業時間1時間分を時間外労働として取扱いしなくても問題はないのでしょうか?
A: 出向は、単なる出張とは異なり労働契約の内容の変更を意味するものですので、使用者の一方的な命令だけで効力が発生するものではありません。労働者の同意が必要になります。
御社の出向労働者が、実働時間がこれまでより1時間長くなるという労働条件の変更を伴う今回の出向命令に異議を申し立てることなく、これまで出向先で労働しているということですから、このような場合は「黙示の承諾」があったものと考えるのが一般的です。この出向労働者の労働時間は、合意によって関連会社の就業規則に定める労働時間に変更されたわけですから、1時間分の時間外労働の賃金を請求することはできないということになります。
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D5 パート従業員の配置転換

Q: 当社では製造部門で製品チェックの業務を行うパート従業員を数名雇用しているのですが、このところ製造部門の業務量が減っているので、以前経理の仕事をしていたことがあるパート従業員Aさんを経理部に配置転換したいと考えています。Aさんを雇い入れる際に締結した雇用契約書の中では業務内容を「製造工場における製品チェック」と定めていますが、このような配置転換は問題でしょうか?
A: 労働契約で職種や勤務場所などを特定している場合は、原則として配置転換はその範囲内に限られることになります。(特定された範囲を超えて使用者が一方的に変更することは契約内容の変更の申し入れであるので、労働者の同意がない限り認められないとされた裁判例があります。)
職種、勤務場所が特定されていない場合や特定された範囲以外にも配置転換する旨の含みがある場合には、企業側の必要性と労働者の受ける不利益を比較して判断されることとなります。
職種や勤務場所は、重要な労働条件であり、労働者の生活にも大きな影響を及ぼすものですから変更が必要な場合は、一方的に通知するのではなく、その必要性を労働者に十分に説明し、労働者の同意を得たうえで実施してください。
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E1 始末書の法的効力

Q: 当社の従業員が、就業規則の規定に反する行為をしたので懲戒処分をしました。その際、「このような行為は二度としません」といった内容の始末書を提出させたのですが、その後同じような問題を起こしたため、処分の対象にしようと考えています。同じ理由で懲戒処分をする際に、前回の始末書の「二度としません」の一文にはどのくらいの効力があるのでしょうか?
A: 始末書は、就業規則違反行為を反省し、将来の改善更正を誓約する趣旨で作成されるのが通例です。過去に就業規則違反行為により懲戒処分を受けて始末書を提出したにもかかわらず、再び同じ違反行為に及んだ場合、その労働者は従前の反省が不十分であったか、または改善更正が十分に果たされていないことになります。
再度同じ就業規則違反行為に及んだことは、始末書で誓約したことを破ったことを意味するものであり、前回の就業規則違反行為より相対的に違法性の度合いが強いといわざるを得ません。また、改善更正を期待しにくいと評価されても仕方がないこととなります。
したがって、程度の選択が重すぎて不相当でなければ、従前の懲戒処分より重い程度の懲戒処分を行うことには合理性があることとなります。
つまり、再度同じ就業規則違反行為に及んだ場合、過去に始末書を提出した事実は、その再度の就業規則違反行為の情状をより悪くするということができます。
使用者側からみれば、始末書を提出させることは、再度の就業規則違反行為の抑止効果が期待できることとなります。
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E2 メールで届いた退職届

Q: 当社の従業員は、1週間前から無断欠勤をしておりましたが、昨夜、退職したいということをメールで連絡してきました。本人に確認しようと電話をしてもいつも不在で、直接話しをすることができません。会社がメールで連絡するとメールで返信があるだけです。
当社では退職届は書面で提出するように就業規則に定めておりますが、メールでの届出も法的に有効なのでしょうか?
A: メールによる退職の意思表示が、本人の意思に反して提出されていたような場合には、これに基づいて会社が退職を決定してもそれは無効とされますし、詐欺や強迫による場合には、取り消すことができますが、1週間前から無断欠勤をしていたことを考えると、少なくとも本人にはすでに就業の意思はないものと推察することができます。
次に、意思表示の法律効果は、原則として表示が到達して初めて効力が発生することになります。(民法97条1項)。よって、退職したいという意思表示がメールでなされ、それが到達しているので、法律効果は発生したものと考えられます。
会社が真意を確認しようと送ったメールに対して、ご本人からの返信もあるようですから、改めて退職届を書面で提出するように求め、それでもなお書面による退職届の提出がなく、会社を辞めたいという意思表示が明白な場合には、退職として処理することは可能と思われます。
今後は今回のような判断に迷うようなことは避けたいものです。退職の手続きについて、就業規則にできる限り詳細に規定しておくことが望ましいでしょう。
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E3 退職願の撤回

Q: 自己都合により退職願を提出した従業員が、翌日になってやはり撤回したいと言ってきました。断ることはできますか?
また、これとは別に、自主退職を勧めた結果、退職することになった従業員が退職願を提出後、真意ではなかったので撤回したいと申し出てきました。一回受け取った以上、撤回に応じたくないのですが、この場合も断ることができるのでしょうか?
A: 労働契約の解約による退職が認められるためには、労働者が退職願を提出するだけでなく、使用者である会社がこれを承諾することが必要で承諾前であれば撤回が可能ということになります。
ただ、退職願の撤回が使用者の承諾前であれば常に認められるわけではなく、「不測の損害を与える等、信義に反すると認められるような特段の事情がある場合には許されない」との判断もあります。
また、退職願は、労働契約の合意解約の申し込みである以上、従業員の意思表示に基づいてなされることが必要です。退職願の提出が真意でなければ、申し込みは無効もしくは取り消すことができます。
特に、ご質問のように、自主退職を促していた場合には、従業員がここで従わなければ解雇されてしまうのではないかとの恐怖心によって、退職願を出してしまうこともあり、真意ではなかったということで、後で紛争になることが少なくありません。従業員が本当に懲戒処分にあたるような行動を行っている場合に、それを告げて退職を促すことは問題ありませんが、後に紛争にならないように十分時間をかけて話し合うことが必要でしょう。
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E4 「辞めていただいて結構」は解雇予告?

Q: 先日、当社の営業部長が業務上のミスをした部下を注意したところ、その部下は反省するどころか、逆に反抗的な態度をとったため、「そんなに嫌なら辞めていただいて結構」と発言しました。
次の日から部下は無断欠勤をし、3日後になって本人から「会社を辞めさせられた。解雇予告手当を支払ってください。」との請求がありました。
当社では、解雇をしたつもりはありませんので、解雇予告手当を支払うつもりもありません。このような場合、どのように対処すればよいのでしょうか?
A: 「そんなに嫌なら辞めていただいて結構だ」という発言が「解雇の意思表示」に当たるかどうか・・ですが、まず、解雇であるためには、解雇の権限を有する者が意思表示することが必要です。会社の規模にもよりますが、営業部長が解雇を即断するような権限をもつことは通常少ないと思われます。
また、解雇といえるためには確定的な意思表示があることが必要ですから、「辞めていただいて結構」という遠回しな表現では解雇の意思表示とは言い難いでしょうが、文脈によってそう解釈できる場合があり、注意が必要です。
ご質問の場合は、決して適切な発言ではありませんが、言い過ぎたという程度のもので、これが解雇の意思表示と認定されることは、裁判実務上ほとんどないでしょう。
また、会社としては労働契約関係を終了させる意志がないのですから、合意解約(一方の退職の申し込みと他方の承諾により成立する)の申し込みとすることもできません。
一方、部下の行為もまた、上司の注意から3日しか経っておらず、興奮した状態のままの短絡的な行為にすぎませんから、これだけでは確定的な辞職の意思表示には当たりません。
このような場合、会社としては、将来の紛争を防止するために、事前に下記のような対処をすることが必要となります。
@解雇であるとの部下の誤解を解くこと。すぐに連絡をとり、解雇ではないことを説明する。部下の反応によっては、書面で通知して証拠を残しておくこと。
A出勤するように業務命令を発し、解雇でなかったことの証拠とする。
B再度出勤するように求め、出勤しない場合は退職する意思とみなすとの警告を書面で行う。
C会社から退職に同意する旨を書面で通知し、合意解約の形をつくっておく。同時に、退職に関する手続き書類も送付する。
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E5 解雇予告手当の受領を拒否されたら

Q: 無断欠勤を続け、再三の出勤の督促にも応じない従業員に対し、30日分の解雇予告手当を支払い、即時解雇しようと考えています。そこで、お聞きしたいのですが、解雇予告手当についても、労働者本人に直接支払わなければならないのでしょうか?
また、仮に、従業員が解雇予告手当の受け取りを拒否した場合、どうすれば解雇予告手当を支払ったものとみなされるのでしょうか?
A: 解雇予告手当については、行政解釈において、賃金には該当しないとされています。したがって、解雇予告手当については、労働基準法第24条による賃金の直接払い、通貨払いの原則は適用されません
ただし、行政解釈では、その支払いについては、労働基準法第24条に準じて通貨で直接支払うよう指導すべきことが示されています。また、小切手による解雇予告手当の支払いを無効とした判例もあります。
次に、解雇予告手当の受け取りを労働者に拒否された場合についてですが、解雇予告日に解雇予告手当を支払ったとみなされるには、行政解釈において、賃金その他の債務が支払われるのと同様に、労働者が受け取り得る状態に置かれることを要し、そのためには具体的には次のようなことが必要であるとされています。
@郵送などの手段により労働者宛に発送を行い、この解雇予告手当が労働者の生活の本拠地に到達したとき。なお、この場合、直接労働者本人が受領したか否か、また、労働者の存否には関係がない
A労働者に解雇の申し渡しをなすと同時に、解雇予告手当を提供したが当該労働者がこの解雇予告手当の受領を拒んだ場合や、解雇予告手当を支払う旨通知し、その支払い日を指定したがその日に本人が来なかった場合に、これを法務局に供託したとき
したがって、労働者本人が解雇予告手当の受け取りを拒否した場合、上記の@Aのいずれかの手続きを行えば、解雇通知日に解雇予告手当を支払ったとみなされることになります。
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F1 出張先で土産物色中の被災

Q: 当社の従業員が、先日九州に出張に行き、帰りに駅構内の売店で会社への土産を選んでいる途中に人と激しく接触し転倒して腰を打ち、現在も休業して療養しています。地方出張の際、会社に土産を買って帰るのが慣例となっているようですが、かといって土産を買う行為は正しくは業務とは思えません。この負傷は業務上災害と認められるのでしょうか?
A: 出張中の個々の行為については、積極的な私用・私的行為あるいは本人の勝手気ままな行為による場合を除き、それ以外は一般に出張に当然または通常伴う行為とみて、業務遂行性が認められています。出張途上であって「通常のまたは合理的な順路および方法」によっている限り、業務遂行性があるといえるのであり、その間の個々の私的行為に際して発生した災害についても、その行為が出張に当然または通常伴う範囲内のものである限り、災害との因果関係、つまり業務起因性を認めることにしています。
よって、出張中の食事や喫茶、列車内での睡眠中の事故、ホテルなどでの宿泊中の災害(火災、食中毒など)でも、業務起因性が認められて業務上の災害とされることになります。
ご質問のケースについてみてみますと、災害のあった駅が出張順路であったとすれば、土産を買う行為を積極的な私用・私的行為、もしくは恣意行為とみることはできません。要するに仕事の経路上の駅の売店でタバコや雑誌を購入する行為と何ら異ならないということです。
ただ、たとえば出張先の名産品を調達するために出張順路を著しく迂回したため、「通常のまたは合理的な順路」を逸脱したとみるべき場合には、業務遂行性を失うということになります。なお、この逸脱の場合でも、業務遂行性を失うのは逸脱の間だけで、再び合理的順路に戻れば業務遂行性もその時点で回復します。
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F2 取引先との新年会で幹事が被災

Q: 先日行った取引先との新年会で、上司の任命により幹事をしていた当社の従業員が怪我をしました。宴会を終えて店を出る際に、泥酔して足元がフラフラしていた取引先の部長を介抱し、肩を貸して階段を降りていたところ、バランスを崩して階段から転げ落ち、右足を捻挫してしまったのです。
終業後の宴会での事故なので、労災の申請はできないものと思い申請をしていないのですが、この場合の怪我は労働災害として給付を受けることはできるのでしょうか?
A: 業務上の災害と認定されるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの要件を満たしていなければなりません。
たとえば、建設現場で作業中に誤って資材を足の上に落として負傷した場合は、業務の遂行中の被災ですし、業務に起因して起こった災害でもあることが明らかですので、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの要件を有していることになります。
しかし、ご質問の新年会での被災の場合は、労働時間外のことでもありますので業務上の災害であるか否かを判断するのは、建設現場での災害のように簡単にはいきません。
ご質問のケースが業務上の災害と判断されるためには、大きく分けて次の2つの要件があります。
@新年会に出席させることが事業の運営に社会通念上必要と認められること
A新年会への出席が事業主の特命によるものであること
宴会への参加者の被災が業務上の災害と認定されるケースのほとんどは、幹事役や世話役の被災です。幹事や世話役の場合には、会社からの命令を受けて宴会の世話などを行うことから、宴会に参加すること自体に業務遂行性があると判断されているからです。
ご質問の場合は、取引先の方の介抱をしているときの被災でもありますし、業務上の災害と認定される可能性は高いものと思われます。
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F3 飲酒運転で労災事故 使用者の災害補償は?

Q: 先日、当社の従業員が取引先との商談後の食事の席で飲酒し、会社に戻る際、飲酒運転で信号を無視して交通事故を起こしてしまいました。
労災事故になりますので、労働基準監督署に労災保険の給付請求をしたのですが、支給制限の規定に該当するとのことで制限を受けました。
このような場合、会社としては労働基準法上の災害補償をどうしたらよいのでしょうか?
A: 支給制限を受けた場合、使用者は労働基準法上の災害補償をどうすればよいかですが、「労働者が重大な過失によって業務上負傷し、又は疾病にかかり、かつ使用者がその過失について行政官庁の認定を受けた場合においては、休業補償又は障害補償を行わなくてよい」とされています。(労基法第78条)
労災保険の保険給付が行われる場合は、使用者は労基法上の災害補償責任を免れることになっています(労基法第84条)ので、支給制限された場合でも労基法上の災害補償は免れます。ただ、使用者が直接災害補償責任を有する待期期間(被災日含む3日間)については休業補償を免れるには労働基準監督署長の認定を別途受ける必要がありますのでご注意ください。
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F4 通勤途中の暴行事件

Q: 先日、当社の従業員が社内での残業を終え、午後11時ごろ帰宅途中の電車内で大学生2名に暴行を受け負傷したという事件が起こりました。
従業員によりますと、その大学生は酔っ払っており、周囲の迷惑を顧みず携帯電話で大声で話し始めたため、たまらず注意をした結果、暴行を受けたとのことです。
こういう場合、通勤災害と認定されるのでしょうか?
A: 被災の原因が車内で禁止されている携帯電話の使用の注意であって、恣意行為とはいえませんが、注意したことが一市民としての善意から出た私的行為とみる余地があることを考慮すれば、「通勤に通常伴う危険が具体化したもの」として、通勤災害と認定されることは難しいものと思われます。
労災保険法では、通勤災害について「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡をいい」とし、ここでいう「通勤による」とは「通勤と相当因果関係があること、つまり通勤に通常伴う危険が具体化したことをいう」としていて、「被災者の故意によって生じた災害、通勤の途中で怨恨をもって喧嘩をしかけて負傷した場合などは、通勤をしていることが原因となって災害が発生したものでないので、通勤災害とは認められない」としています。
これまでの認定事例においても、第三者の暴行による被災については、被災者の通勤経路上の被災場所でこれまで頻繁に犯罪が行われていたかどうか、加害者と被災者との間に私的な怨恨関係がなかったかどうか、被災者に災害を誘発する言動がなかったかどうか、などの点から通勤災害の認定が行われています。
また、被災場所が犯罪の多発している地域でなかったとしても、通勤災害と認定された事例もあります。出勤途中で犬をひきそうになり、犬の飼い主から暴行を受けた事例では、「自動車で通勤する労働者が、通勤の途中で犬をひきそうになることは通常発生し得る出来事であり、またこのような出来事に遭遇した場合において、当該犬の飼い主が反射的に当該労働者に対して暴行に及ぶこともあり得ることである。このような場合、他に暴行を引き起こす通勤と関係のない事由が認められない限り、通勤と暴行との間に相当因果関係が認められる」とされています。この場合、「私的な怨恨関係が認められず、被災者に加害者の暴行を誘発するような言動が一切行われていない」ことから、通勤災害とされています。
マナー違反を注意することは勇気ある行為ではありますが、注意をすることが社会通念上通勤に通常伴う行為と認められない限り、通勤災害となるのは難しいものと思われます。
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F5 いつもと違う交通手段での通勤災害

Q: 当社の従業員は、いつもはバスと電車を利用して通勤しているのですが、昨日は残業をする予定で、バスの最終に間に合わないため、自分の車で出勤しました。
ところが、この日は残業の必要がなくなり、所定の終業時刻で退勤したのですが、自宅までの間で事故に巻き込まれ、重傷を負ってしまいました。このような場合でも、合理的な経路・方法となるでしょうか?通勤災害と認定されるでしょうか?
A: 通勤災害の対象となる「合理的な経路および方法」とは、ひとつに限られたものではなく、会社に届け出ている経路に交替することが考えられる経路や平常用いているか否かにかかわらず一般に合理的な方法も該当します。
ご質問の場合、バス・電車を利用せず、車を利用したとしたなら普通通るであろう経路を通っている限りは、「合理的な方法・経路」となり、車による出退勤行為は、通勤行為といえます。ただ、無免許だったような場合や飲酒運転をしているような場合ですと、合理的な方法とはいえなくなります
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G1 休業中の見舞金は報酬?

Q: 従業員が病気のため入院したので、見舞金として給与の一定額を支給しました。健康保険の傷病手当金を請求する予定ですが、この場合の見舞金は報酬として取り扱われるのでしょうか?
A: 健康保険における報酬とは「労働者が労働の対償として受けるもの」です。休業中であっても、過去の労働と将来の労働とを含めた労働の対価として一定の給与規定等に基づいて支給されるものは報酬の範囲に入るとされています。
例えば、給与規定で「労務不能となったとき報酬と傷病手当金との差額を見舞金として支給する」と規定している場合
これは名目的に見舞金でもいわゆる「お見舞い」ではなく、事業主と被保険者との雇用関係に基づいて事業主が病気休業中の報酬の一部を支給し、生活を保障しようとするものであり報酬の範囲に含まれます。
では、逆に「報酬とならないもの」は、
@事業主が恩恵的に支給するもの(例:恩恵的に支給する見舞金)
A労務の対償として受けるものでないもの(例:傷病手当金、解雇予告手当、休業補償費、退職手当など)
B臨時に受けるもの(例:大入り袋など)
C3か月を超える期間ごとに受けるもの
傷病手当金の支給の対象となる日に報酬を受けた場合は、その報酬額が傷病手当金の額より少ない場合、その差額が支給されます。ご質問の場合、見舞金が報酬の一部を支給し、生活を保障しようとするものであるならば、報酬の扱いになり、報酬と傷病手当金の調整があります。事業主が恩恵的に支給する「お見舞い」であるならば通常報酬の扱いをしません。
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G2 雇用保険 未支給の失業給付

Q: 私の夫は失業給付を受給中に急死しました。もらい残した失業給付はどうなるのでしょうか?
A: 基本手当(失業給付)の受給資格者が失業の認定を受ける前に死亡し、直前の認定日と死亡するまでの間に失業していた日があったときは、一定範囲の遺族は、失業していた日分の基本手当の支給を請求することができます。
また、失業の認定を受けた後において、基本手当の支給を受ける前に死亡した時も、同様に遺族が未支給の基本手当の支給を請求できます。
@「一定範囲の遺族」とは?
死亡者の配偶者(事実上婚含む)、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹であって、その者の死亡当時その者と生計を同じくしていた者。支給順位は、上記の順位。同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は全員のため全額につきしたものとみなし、その1人に対する支給は全員に対してしたものとみなす。
A請求手続は?
死亡者の死亡当時の住所地を管轄する公共職業安定所にて、死亡者が当該基本手当を受けようとする期間に失業していたか否かについての失業認定を受け、未支給失業等給付請求書を提出する。
【添付書類】(1)死亡者の受給資格者証 (2)死亡の事実および死亡年月日を証明する書類 (3)請求者(遺族)と死亡者との続柄を証明する書類 (4)請求者(遺族)が死亡者と生計を同じくしていたことを証明する書類
B請求期限は?
当該死亡者が死亡したことを知った日の翌日から起算して1か月以内
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G3 退職金の前払いにかかる社会保険料の取扱い

Q: 当社では、このたび退職金制度を見直し、退職金相当額の全部または一部を在職中に給与や賞与に上乗せして前払いする制度を導入しようと考えています。退職金については、報酬とみなさず、社会保険料の賦課の対象とはなりませんでしたが、このような退職金の前払い制度を導入した場合は、社会保険料の取扱いをどうすればいいでしょうか?
A: 被保険者の在職時に、退職金相当額の全部または一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格が明確であり、被保険者の通常の生計にあてられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、健康保険法第3条第5項または第6項に規定する報酬または賞与に該当するものであるということになり、社会保険料の賦課の対象となります。
支給時期が不定期である場合についても賞与として取り扱い、これが年間4回以上支払われているものであれば、報酬として通常の報酬月額に加算して取扱います。
また、退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるものまたは事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものについては、従来どおり、健康保険法3条第5項または第6項に規定する報酬または賞与には該当しないものと取扱います。
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H1 採用内定取り消し

Q: 当社では、4月1日付けで新規学卒者を雇い入れる予定で選考し、採用決定者への採用内定通知も済ませて誓約書も提出してもらったのですが、このところの不況で業績が急激に悪化し、新規の採用ができない状況に陥ってしまいました。この場合、内定の取り消しはできないでしょうか?
A: 会社の労働者募集に対して学生が応募し、採用試験を受験することは労働契約の申込みであり、会社が選考・決定し、採用内定通知を発信することは契約の承諾になります。この段階で両者に始期付きの解約権を留保した労働契約(入社日が一定の日に定められ、一定条件のもとに解約権を有する)が成立したとみなされるのが一般的です。よって、会社が内定の取り消しを行うには相当の理由が必要になりますし、解雇と同様に取扱われることになります。
解約は、採用内定通知書または誓約書に記載されている採用内定取り消し事由が生じたときになりますが、判例では「採用内定における解約権の行使は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができる場合(【例】)に限定される。」とされています。
【例】@単位不足等で学校を卒業できない場合、A健康を著しく害し、就労に耐えられない場合、B犯罪行為(窃盗、傷害、暴行、放火等)を犯した場合 等
合理的な理由がない場合は内定取り消しが無効とされます。
事業主は、最大限の経営努力を行う等あらゆる手段を講じなければいけませんし、やむを得ずどうしても取り消しをしなければいけない場合は、予めハローワークに通知してハローワークの指導を受ける、また、内定取り消しとなった学生の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、学生からの補償等の要求には誠意を持って対応するなど、十分考慮すべきとされています(厚生労働省指針)。
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H2 職種別の試用期間

Q: 当社では、新規に雇入れた従業員について、試用期間を設ける旨を就業規則で定めていますが、具体的に何か月とするかは明記していません。職種によって従業員の適性・能力を見極めることができる期間が異なるので、職種によって試用期間の月数を変えて、例えば、営業職は4か月、事務職は2か月としようと考えているのですが、こういう取扱いをしても問題はないでしょうか?
また、あらかじめ定めた試用期間では、本人の適性・能力を判断できなかった場合には、個別に試用期間を延長してもかまわないでしょうか?
A: 試用期間について直接規制する法律の規定はありませんので、労働者の採用に当たって試用期間を設けるかどうかは当事者間で自由に決められます。しかし、試用期間は、労働契約の一態様として定められるものですので、就業規則、労働契約等で明確に定められている必要があります。
ご質問のように、就業規則では試用期間制度があることを定めただけで期間を定めていない場合には、各労働者の採用の際に、労働契約書等でその長さを明確にしておく必要があります。
あらかじめ、それぞれの職種等ごとに試用期間の長さが明確になっていれば、職種等の差異に応じて変えることも差し支えありません
なお、試用期間中の労働者については、解雇権が留保されるなど不安定な地位に置かれるものですので、試用期間の長さはその目的に照らして合理的なものでなければならず、不必要に長い場合には、公序良俗に反し無効となる場合もあると考えられます。
試用期間の延長、更新については、労働者の身分が不当に不安定となるので、たとえ就業規則等でそれができる旨定めた場合であっても、試用期間中に適格性を判断し得ないような特別な事情がない限り、できないと解されます。
試用期間の更新を認めた裁判例でも、本来解雇理由があるが試用者の利益のため解雇を猶予する措置として試用期間を延長したことをやむを得ないとしたものなど、相当の理由を必要としています。
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H3 定期健康診断の受診拒否

Q: 当社では年に1回、定期健康診断を行っていますが、従業員Aは、仕事が忙しいという理由で健康診断を受診しません。また、従業員Bは、「健康診断の強要はプライバシーの侵害だ」として、受診を毎年拒否しています。本人が受診を拒否する以上、仕方がないので放置しておいても良いのでしょうか?
また、このような従業員の受診拒否に対して懲戒処分ができるのでしょうか?
A: 会社は、常時使用する全ての従業員に対して、雇入時と毎年1回定期的に、医師による健康診断を行うことが労働安全衛生法により義務づけられています。
また、従業員にも受診する義務があります。法定健診の場合には、会社の指定医師以外の医師の健康診断書の提出をもって代えることはできますが、受診自体を拒否することはできません。したがって、会社は、従業員が定期健康診断を受けない場合には、業務命令として受診するように命令することが可能です。
事業主は、労働者の生命・健康等を危険から保護するよう配慮すべき「安全配慮義務」を負っています。このことからも、従業員の健康診断受診拒否を放置しておいてはいけません。就業規則にも健康診断の受診義務に関する規定を記載しておく方が良いでしょう。
会社の受診命令を拒否したことに対して、就業規則に沿った懲戒処分を科すこともできます。
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H4 賃金台帳などの保存義務

Q: 賃金台帳やタイムカード、業務日誌などは、どのくらいの期間会社で保存しておかないといけないのでしょうか?
A: 3年間の保存義務があります。
労働基準法第109条では「使用者は労働者名簿、賃金台帳および雇い入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない」と定めています。これは将来労働者と会社との間に労働関係などに関する紛争が起こったときにその紛争を解決するためや監督上の必要から証拠を保存する義務を課したものです。
タイムカードなどは『重要な書類』に該当するか否かということですが、行政解釈では使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、タイムカード等の記録、残業命令書および報告書、労働者が自ら記録した報告書などはそれの例示として挙げています。また、タイムカードなどだけでは把握できない労働時間の詳細が他にある場合は名称にとらわれずその記録も保存する必要があります。尚、保存する期間の起算日はその完了する日とされ、月末締めの場合は、月末より3年間保存が必要です。
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